【月旅行の次はどうなる?】宇宙にも温泉はあるの?〜温泉豆知識〜
人は誰しも、一度は思ったことがあるに違いない。
「人生で一度でいいから宇宙に行ってみたい」と。
いよいよそれが現実味を帯びてきた。
ここ最近、世間を賑わせているニュース。
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの前澤友作氏が、月旅行の契約を結んだ。
前澤氏は宇宙ロケット「ビッグ・ファルコン・ロケット(BFR)」の初の搭乗者として、早ければ2023年にも地球を飛び立つという。
月面着陸は行わないが、これが実現すれば1972年のアポロ計画以来、民間初の有人月旅行(月周回旅行)となる。
お金はかかるけども、人生において宇宙へ行けるチャンスなんてないだろうなと思っていた人も多いはずだ。
これが実現すれば、かなり大きな一歩であるといえる。
アポロ11号 月面着陸時の写真
前澤氏が誰を一緒に連れていくかとか、どれくらい費用がかかるかなど話題は尽きないが、日々温泉のことを考えている中で、ふと思ったのである。
「宇宙にも温泉があったら面白いのに…」と。
興味本意で調べてみたところ…
なんと…
気になる情報を見つけた。
その場所は、火星。
その詳細について紹介していく前に、まずは「温泉」の定義について確認しておきたい。
以前、別の記事でも軽く紹介したが温泉の定義についておさらいをしておこう。
ここでいう温泉の定義とは、
- 一.温度(温泉源から採取されたときの温度)
- 摂氏25℃以上
- 二.物質(以下に掲げるもののうち、いずれか1つ以上)
物質名 含有量(1㎏中) 1.溶存物質(ガス性のものを除く) 総量1,000㎎以上 2.遊離炭酸(CO2) 250㎎以上 3.リチウムイオン(Li+) 1㎎以上 4.ストロンチウムイオン(Sr2+) 10㎎以上 5.バリウムイオン(Ba2+) 5㎎以上 6.フェロ又はフェリイオン(Fe2+,Fe3+) 10㎎以上 7.第一マンガンイオン(Mn2+) 10㎎以上 8.水素イオン(H+) 1㎎以上 9.臭素イオン(Br–) 5㎎以上 10.沃素イオン(I–) 1㎎以上 11.ふっ素イオン(F–) 2㎎以上 12.ヒドロひ酸イオン(HAsO42-) 1.3㎎以上 13.メタ亜ひ酸(HAsO2) 1㎎以上 14.総硫黄(S)〔HS–+S2O32-+H2Sに対応するもの〕 1㎎以上 15.メタほう酸(HBO2) 5㎎以上 16.メタけい酸(H2SiO3)
50㎎以上 17.重炭酸そうだ(NaHCO3) 340㎎以上 18.ラドン(Rn) 20(百億分の1キュリー単位)以上 19.ラジウム塩(Raとして) 1億分の1㎎以上 温泉の定義
が、地中から湧き出していることである。
面白いのは、このうちどちらかだけでも満たすことが出来れば、温泉と名乗れることだ。
つまり、源泉温度が25℃以上あるか、それより冷たくとも19の特定成分が1つでも規定値に達していれば、「温泉」と名乗れるのである。
ちなみに、水蒸気やガスも上の条件を満たしていれば、温泉と呼べるのだ。
(水蒸気から温泉を生成する造成温泉で有名なのは箱根の大涌谷温泉ですよね)
さて、なぜこのような話をしたかというと、火星は太陽から遠く非常に寒冷な惑星。
知っている人も多いかもしれないが、平均気温はマイナス40℃を下回る。
きっと素直な読者の皆さんは、
「そんな状況下で水(および水蒸気)なんて存在するの?」
と思うはずだ。
事実、米航空宇宙局=NASA の火星探査車「キュリオシティー」が探索した湖底の跡から過去の火星表面に水があったことは窺えていたが、その存在は確実ではなかった。
だがしかし、ついに今年、南極にある分厚い氷の層の下に液体の水で満たされた湖がある証拠が発見されたのだ。
欧州宇宙機関(ESA)の無人探査機「マーズ・エクスプレス」に搭載された地下探査レーダ高度計「MARSIS(Mars Advanced Radar for Subsurface and Ionosphere Sounding): Sub-Surface Sounding Rader Altimeter」からの電波が、火星の氷底湖をとらえ、水の存在が確認された。
水があるということは、そこに含まれる成分が気になるところである。
水そのものの成分はまだ解明されていないようであるが、岩石などから採取されたものに、硫黄や過塩素酸塩などがあげられるようだ。
これで、温泉の定義で紹介した部分はおおむねクリアしたと言えるのではないだろうか。
もう一つ残っているのが、地中から湧き出しているかという部分である。
NASAの火星生命探査に関する記述の中で、この点に言及している部分があったので紹介したい。
火星生命は熱水で誕生した
米アリゾナ州にある惑星科学研究所のジム・ライス氏もまた、熱水が噴出する古代温泉跡を調査したいと考えている。特に、グセフ・クレーターのホームプレートと呼ばれる場所で、NASAの探査車「スピリット」が発見した蛋白石質シリカに注目する。
「自然界でシリカが形成されるには、大量の水と高い熱が必要です。蛋白石質シリカの存在は、ホームプレート周辺に高熱の水が大量に存在していたことを示しています。温泉か間欠泉があったのかもしれません」。
〜中略〜
アリゾナ州立大学の2人の地質学者がスピリットの発見に関して興味深い解釈を新たに発表した。火星の地表からカリフラワーが生えているような形をしたシリカ層が、南米チリにあるアタカマ砂漠の間欠泉内に生息するバクテリアの作り出すシリカ層に酷似しているというのだ。グセフ・クレーターにも、数十億年前に同様の間欠泉が存在したのではないかと考えられる。引用:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/110200416/?P=2
このように、火星には間欠泉があるのではないかとの見解がある。
よって、限りなく温泉があっても不思議ではない環境であることが推測される。
いつ公式に温泉があったという報道があってもおかしくない状況ではないかと、筆者は考えている。
ただし、火星という環境的に温泉が見つかったと公式に発表されたとしても、人間が入浴することは極めて困難だといえるだろう。
なぜなら空気がないのはもちろんのこと、紫外線が強かったり酸化鉄や過酸化水素など人体に有害な物質が多いのだ。
環境の整備まで整えるとなると、実際に入ることは限りなく不可能に近いといえるかもしれない。
残念ながら、宇宙の温泉には入れない(であろう)ことがわかったが、ここで朗報が。
実は、火星には温泉地が存在している。
「は?この人何言ってるの?」
と思うかもしれないし、温泉通のあなたは知っているかもしれない。
そう、それが「Naruko」だ。
火星の南半球にある直径約4.4キロのクレーター「Naruko」は、2008年1月18日に火星のクレーター名として国際天文学連合(IAU)によって正式に承認されている。
これは、宮城県大崎市の鳴子温泉にちなんで、Narukoと名付けられたのだそう。
(Narukoのクレーターには湖があり、温泉ともつながりがある)
「鳴子温泉郷観光協会公式サイト/宮城県大崎市鳴子温泉」
Narukoの地に思いを馳せながら、鳴子の温泉を楽しんでみるのはいかがだろうか。
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